「あの時の写真」がネットに?家族・友人の投稿から始まるデジタルタトゥーと対策
家族や友人が撮った写真、インターネットに投稿されていませんか?
インターネットは便利なものですが、時には「知らなかった」という不安を生むこともありますね。『ネットの足跡相談室』には、「家族や友人が撮った写真が、気づかない間にインターネットに載っているのではないか心配だ」という声が寄せられることがあります。
ご自身ではインターネットにあまり情報を載せていないつもりでも、一緒に写った写真が、写真を持つ他の人によってインターネット上に公開されている可能性は十分にあります。このような、自分では直接管理していない情報も、「デジタルタトゥー」の一部となり得るのです。
この記事では、家族や友人が投稿した写真がなぜ心配になるのか、そして、どうすればその心配を減らすことができるのかを、分かりやすくお話しします。
写真や動画も「デジタルタトゥー」になりうる?
「デジタルタトゥー」とは、一度インターネット上に公開された情報が、まるでタトゥー(入れ墨)のように消えずに残り続け、後々まで影響を与える可能性があることを指します。これまでの記事では、ご自身の投稿や検索履歴などについてお話しすることが多かったですが、実は、写真や動画もデジタルタトゥーの重要な要素です。
たとえば、あなたが写っている写真が、ご家族やご友人の利用するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やブログに投稿されたとします。その写真にはあなたの顔がはっきりと写っていて、もしかしたら場所や状況がわかる情報も含まれているかもしれません。
写真が一度インターネットに公開されると、世界中の人が見られる状態になったり、知らない間にコピーされたり、別の場所で使われたりする可能性が出てきます。これは、例えるなら、あなたが見ると思っていない場所に、あなたの顔写真が貼られてしまうようなものです。一度貼られたものを全て把握して回収するのは、とても難しくなります。
どんな写真が心配になるの?考えられるリスクとは
具体的に、どのような写真がデジタルタトゥーとして心配になるのでしょうか。
- 個人的な状況が分かる写真: 自宅の様子、病気や怪我の状態、経済的な状況などがうかがえる写真。
- 昔の、あるいは意図しない姿が写った写真: 若い頃の失敗談に関わる写真、酔っている時の写真など、今となっては他人に見られたくない写真。
- 特定の場所や団体との繋がりを示す写真: あまり知られたくない趣味の集まりや、政治・宗教的な活動に参加した時の写真。
- お子さんやお孫さんと一緒に写った写真: ご自身の情報だけでなく、大切なご家族の情報まで意図せず広まってしまう可能性があります。
これらの写真が、公開範囲が広い状態でインターネットに載ってしまうと、以下のようなリスクが考えられます。
- 意図しない人に見られる: 仕事関係の人、将来関わることになる人など、本来ならプライベートな写真を見られたくない人に見られてしまう。
- 悪用される可能性: 写真が悪意を持って加工されたり、詐欺などに使われたりする可能性もゼロではありません。
- 個人情報と結びつけられる: 写真から、名前や住んでいる場所、職場などが特定されてしまう足がかりになることもあります。
ご自身や大切な人を守るためにできること
では、このような心配に対して、私たちはどのような対策をとることができるのでしょうか。最も大切で、かつ比較的取り組みやすいのは、「周囲の人とのコミュニケーション」です。
1. まずは「話してみる」ことから
デジタルタトゥーの心配は、インターネットの操作そのものよりも、人間関係に関わる部分が大きい場合があります。
- 家族や親しい友人に話してみましょう: インターネットに投稿される写真について、あなたがどのような点で心配しているのか、正直に話してみましょう。「あなたの写真がネットに出るのが不安なんだ」と伝えるだけでも、相手は投稿する際に気をつけてくれるようになるかもしれません。
- 写真を撮る際に確認する習慣を: もし写真を撮られそうになったら、「この写真はどこかに投稿するの?」と軽く聞いてみるのも良いでしょう。そして、「もし投稿するなら、顔が分からないようにしてもらえると嬉しいな」「インターネットには載せないでもらえると助かる」など、あなたの希望を伝えてみてください。
2. 投稿する側の設定を確認してもらう
もし、ご家族やご友人がよくSNSなどを利用しているなら、お願いして投稿時の設定を確認してもらうことも有効です。
- 公開範囲の確認: SNSには、投稿を見られる人を「全員」「友人まで」「特定の人のみ」のように限定する機能があることがほとんどです。写真を投稿する際に、公開範囲を狭く設定してもらうようにお願いしてみましょう。
- タグ付けの確認: 写真に写っている人を特定するために「タグ付け」という機能が使われることがあります。あなたが写っている写真に勝手にタグ付けされないよう、あるいは、タグ付けされても他の人には見えないように設定してもらうことも可能です。(ご自身のSNSアカウントの設定で、タグ付けを承認制にする、という方法もあります)
3. すでに投稿された写真について
もし、すでにあなたが写っている写真がインターネット上に投稿されているのを見つけたら、まずはその写真を投稿したご家族やご友人に相談しましょう。
- 削除をお願いする: 写真を投稿した本人であれば、その写真を削除することができます。「この写真、できればインターネットから消してもらえないかな?」と、お願いしてみましょう。理由を丁寧に伝えれば、きっと理解してくれるはずです。
- どうしても消してもらえない場合: ごく稀に、お願いしても削除してもらえない場合もあるかもしれません。その場合は、その写真が投稿されているウェブサイトやサービスの運営者に報告して、削除を依頼するという方法もあります。ただし、この方法は手続きが複雑な場合もありますので、まずは信頼できるご家族や知人、あるいは公的な相談窓口に相談してみるのが良いでしょう。
4. これからの写真との付き合い方
これから写真を撮る時、撮られる時に少し意識するだけで、未来のデジタルタトゥーの心配を減らせます。
- 撮る前に「どう使う?」の確認を: 自分が誰かの写真を撮る時も、「この写真、インターネットに載せても大丈夫?」と一言確認する習慣をつけましょう。これは相手への配慮であると同時に、自分自身の投稿によるデジタルタトゥーを防ぐことにも繋がります。
- インターネットに載せない「思い出専用」にする: スマートフォンやカメラで撮った写真は、必ずしも全てをインターネットに公開する必要はありません。大切な思い出として、家族だけで共有したり、パソコンや写真立てに飾ったりするなど、インターネットを介さない楽しみ方も良いものです。
まとめ:一人で悩まず、まずは話しましょう
家族や友人がインターネットに投稿した写真が心配になる気持ちは、決して特別なものではありません。インターネットが身近になった今、誰にでも起こりうる心配事です。
大切なのは、一人で抱え込まず、まずは信頼できる人に話してみることです。ご家族やご友人にあなたの気持ちを伝え、どうすればお互いが安心してインターネットを使えるかを話し合ってみましょう。
もし、ご自身で対応するのが難しいと感じたり、誰に相談すれば良いか分からなくなったりした場合は、『ネットの足跡相談室』のような場所や、インターネットの利用に関する公的な相談窓口があることも覚えておいてください。
適切な知識と、周囲との良好なコミュニケーションがあれば、デジタルタトゥーの心配を減らし、より安心してインターネットを利用することができるはずです。