インターネットの足跡、なぜ残る?その理由と安心のための知識
ネットを使っていると、なぜ情報が残ると言われるのでしょう?
インターネットやスマートフォンは、私たちの暮らしをとても便利にしてくれるものですね。しかし、「インターネットを使っていると、色々な情報が残ってしまう」「『デジタルタトゥー』という言葉を聞いて、なんだか不安になった」と感じていらっしゃる方も少なくないかもしれません。
自分の行動や入力した情報が、知らず知らずのうちにインターネット上に「足跡」として残ってしまうのはなぜでしょうか?そして、それはどんな時に問題になる可能性があるのでしょうか?
このサイト『ネットの足跡相談室』では、そんな皆さんの不安に寄り添い、分かりやすく解説しながら、安心してインターネットを利用するための知識や対策をご紹介していきたいと考えています。
デジタルタトゥーとは、インターネットに残る「消しにくい情報」のこと
まず、「デジタルタトゥー」という言葉について、少しご説明します。
タトゥー(入れ墨)が一度入れるとなかなか消せないように、インターネット上に一度公開されたり、記録されたりした情報も、完全に消すことが難しい場合があることから、そう呼ばれています。
例えば、若い頃に軽い気持ちでSNSに投稿した内容、過去に利用したネットショッピングの履歴、あるいはウェブサイトを閲覧した記録なども、この「デジタルタトゥー」の一部になり得ると考えられています。
では、どうしてインターネットを使うと、私たちの「足跡」が残ってしまうのでしょうか?
あなたのインターネットの「足跡」が残る3つの主な理由
インターネット上に情報が残るのには、いくつかの理由があります。難しく考えず、身近なものに例えてみましょう。
-
サービスを提供する側の「記録」として残る
例えば、お店で何か買い物をすると、お店のレジに「いつ、誰が(会員なら)、何を、いくらで買ったか」といった記録が残りますよね。インターネット上のサービスも、これと同じような仕組みで利用者の情報を記録しています。
- ウェブサイトの閲覧記録: あなたがどんなウェブサイトを見たか、それはいつか、といった情報は、そのウェブサイトの「サーバー」というコンピューターに記録されることがあります。これは、ウェブサイト側がサービスの改善や分析のために行っている場合が多いです。
- ネットサービスの利用記録: SNSに投稿した内容、メッセージのやり取り、ネットショッピングで注文した商品、動画サイトで見たものなど、それぞれのサービスはあなたが何を利用したかを記録しています。これは、サービスを提供するために必要な情報だったり、後であなたが見返せるようにするためだったりします。例えるなら、手紙や写真がアルバムに残るようなものです。
- インターネット通信の記録: インターネットを使う際には、通信会社などを経由します。そこでも、いつ、どこから、どのくらいの通信があったか、といった基本的な通信記録が一定期間保管されることがあります。これは、サービスの安定提供や、法律に基づいた対応のために行われています。
-
あなたのコンピューターやスマートフォンに残る「記録」
インターネットの「足跡」は、サービスを提供する側だけでなく、あなたが使っているパソコンやスマートフォン側にも残ることがあります。
- 閲覧履歴: パソコンやスマートフォンで見たいくつかのウェブサイトの名前やアドレス(URL)が、「履歴」として残っています。これは、もう一度見たいウェブサイトに簡単にアクセスできるようにするための機能です。例えるなら、お店の会員カードに「来店履歴」が残るようなものでしょうか。
- Cookie(クッキー): これは少し専門的な言葉ですが、ウェブサイトがあなたのパソコンやスマートフォンに一時的に保存する小さな情報のことです。例えば、一度ログインしたウェブサイトで次からログインしなくて済むようにしたり、あなたの興味に合いそうな広告を表示したりするために使われます。これは、ウェブサイトがあなたの「好み」や「状態」を一時的に覚えておくための「メモ書き」のようなものです。
-
意図せず「共有」されてしまう情報
自分で直接情報を残したつもりがなくても、他の人とのやり取りや、利用しているサービス同士の連携によって、情報が「足跡」として残ったり、広まってしまったりすることがあります。
- 他の人の投稿に写り込む: 友人がインターネット上に公開した写真にあなたが写っていたり、誰かがあなたのことに言及する文章を投稿したりする場合です。あなたが直接インターネットに情報を出していなくても、他の人を通じて情報が残ることがあります。
- サービス間の連携: スマートフォンで撮った写真が自動的にインターネット上の保管場所に保存されたり、あるサービスの登録情報が別のサービスと共有されたりすることがあります。便利さの反面、どこにどんな情報があるのか分かりにくくなることがあります。これは、普段使っているお店のポイントカードとスマートフォンアプリが連携して、買い物履歴がアプリでも見られるようになる、といったイメージに近いかもしれません。
これらの理由によって、私たちがインターネットを利用した際に様々な情報が「足跡」として残るのです。
残った情報が問題になる可能性とは?
インターネットに残った情報が、いつも問題になるわけではありません。しかし、時として困った状況につながることもあります。
- 過去の言動による誤解: 若い頃の不用意なSNS投稿などが、後になって仕事や人間関係に影響することがあります。
- 個人情報の流出: サービス側からの情報漏洩などにより、登録していた住所や電話番号などが悪意のある人の手に渡ってしまう可能性があります。
- 望まない情報の公開: 自分では非公開にしたつもりでも、設定の不備や他の人を通じて情報が公開されてしまうことがあります。
- ターゲティング広告など: あなたの興味や行動を記録した情報に基づいて、特定の広告が頻繁に表示されるようになることがあります。
不安になりすぎないで大丈夫。まずは知ることから、そして対策の第一歩へ
「そんなにたくさんの情報が残っているのか」と、かえって不安になってしまったかもしれません。ですが、ご安心ください。インターネットに情報が残ること自体は、サービスの仕組み上自然なことであり、その全てが悪いわけではありません。
大切なのは、「情報が残る仕組みを知っておくこと」と、「自分でできる対策があること」です。
デジタルタトゥーへの対策の第一歩は、「どんな情報がどこに、なぜ残るのか」を知ることです。そして、次に以下のようないくつかの基本的な対策を試してみましょう。
- ご自身の名前で検索してみる: あなたのお名前でインターネット検索をしてみると、どんな情報が出てくるか確認できます。思わぬ情報が見つかることもありますが、これが現状を知る第一歩になります。(これについては、別の記事で詳しく解説しています)
- 使っていないサービスから退会する: 長年使っていないインターネットサービスやSNSアカウントに登録したままになっていませんか?こうした場所に登録情報や過去の投稿が残っていることがあります。不要なサービスからは正式に退会手続きをすることで、残っている情報を減らすことができます。
- ブラウザの履歴やCookieを削除してみる: パソコンやスマートフォンの「設定」から、ウェブサイトの閲覧履歴やCookieを削除することができます。これは、あなた自身の端末に残っている足跡を消す基本的な方法です。やり方が分からない場合は、スマートフォンの種類(iPhoneかAndroidか)や、お使いのインターネット閲覧ソフト(Google Chrome、Safariなど)の名前を調べて、「〇〇(ソフト名) 履歴 削除 方法」のように検索してみると、手順が見つかります。
- SNSなどのプライバシー設定を確認する: もしSNSを利用されているなら、あなたの投稿やプロフィールを「誰にまで公開するか」といった設定を改めて確認してみましょう。初期設定のままになっていると、意図せず広い範囲に公開されていることがあります。
もちろん、インターネットに残った情報を全て完全に消し去ることは難しい場合もあります。一度インターネット上に出た情報はコピーされたり、別の場所に転載されたりする可能性があるからです。
しかし、多くの場合、ご自身でできる対策を丁寧に行うことで、リスクを減らし、不安を和らげることができます。
まとめ:知ることから始めて、安心してインターネットを使いましょう
インターネットの「足跡」であるデジタルタトゥーは、「なぜ情報が残るのか」という仕組みを理解することで、必要以上に恐れるものではなくなります。
この記事でご紹介したように、インターネットに情報が残るのには理由があり、そして私たち自身でできる対策もたくさんあります。
まずは、ご自身のインターネットの利用状況を振り返り、どんな情報が残っていそうか、そしてこの記事でご紹介した対策の第一歩から試してみていただければ幸いです。
もし、ご自身の名前で検索して困った情報が見つかった場合や、特定の情報を削除したいけれどやり方が分からない、といった具体的なお悩みがある場合は、『ネットの足跡相談室』の他の記事も参考にしてみてください。あるいは、お近くの詳しい方に相談してみるのも良いでしょう。
正しい知識を持って、安心してインターネットを使い続けられるよう、一緒に考えていきましょう。