インターネットに載せた写真に隠された情報?デジタルタトゥーを防ぐ確認方法
インターネットに載せた写真に隠された情報?デジタルタトゥーを防ぐ確認方法
お気に入りの景色、大切なご家族との思い出、旅行先の楽しい出来事… スマートフォンやカメラで写真を撮ることは、日々の楽しみの一つですよね。そして、それをインターネットを通じて離れたご家族やご友人と共有することも、今では当たり前のことになりました。
ですが、インターネットに一度載せた写真は、思わぬところでずっと残り続けたり、写真そのものに「見えない情報」が含まれていたりすることがあります。これが、あなたのデジタルタトゥーにつながる可能性も考えられます。
「自分が載せた写真が、後々何か問題を起こすことがあるのだろうか?」「写真に含まれる情報なんて考えたこともなかった」と、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、インターネットに載せた写真に隠れている可能性のある情報や、それがなぜデジタルタトゥーと関係するのか、そして何より大切な「どうすれば安心できるのか」について、分かりやすくご説明します。
そもそもデジタルタトゥーとは何でしょうか?
デジタルタトゥーとは、一度インターネット上に公開された情報が、まるでタトゥーのように半永久的に残り続け、完全に消すことが難しい状態を指す言葉です。
写真や文章、コメントなど、あなたが自分でインターネットに載せた情報はもちろんですし、他の人があなたやあなたの写った写真を載せた場合も、それがデジタルタトゥーとして残る可能性があります。
写真から見えてしまう「隠れた情報」とは?
スマートフォンなどで撮影した写真には、目に見える景色や人物だけでなく、写真ファイル自体に様々な情報が含まれていることがあります。これを知らずにインターネットに載せてしまうと、思わぬ形であなたの情報が広まってしまう可能性があるのです。
具体的には、次のような情報が含まれていることがあります。
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写り込み(背景の情報) これは写真ファイル自体に含まれる情報ではありませんが、写真に写っている背景は、あなたのプライバシーに関わる重要な情報源になり得ます。
- 自宅や職場の外観: 家の窓や玄関、会社の看板などがはっきり写っていると、場所が特定されやすくなります。
- 身の回りの物: カレンダーの予定、写っている書類、家具や家電、車のナンバープレートなどが、あなたの生活や個人を特定する手がかりになることがあります。
- 周辺の景色: よく行くお店や駅、地域の建物などが写っていると、あなたの行動範囲や住んでいる地域が推測されてしまう可能性があります。 例えば、お孫さんの発表会の写真をインターネットで共有した際、会場の近くの珍しい建物を背景に写真が撮られていたため、場所が特定されてしまった、というようなことも起こり得ます。
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位置情報(ジオタグ) 最近のスマートフォンやデジタルカメラの多くは、写真を撮った「場所」や「時間」を自動的に記録する機能を持っています。この「場所」の情報が、位置情報やジオタグと呼ばれるものです。 まるで写真に「この場所で撮りました」という住所や地図上の印が自動で書き込まれるようなイメージです。 この位置情報が含まれた写真をインターネットに載せると、その写真がどこで撮影されたものなのか、誰でも簡単に調べることができてしまう場合があります。
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その他の情報 写真ファイルには、他にも撮影したカメラやスマートフォンの機種、撮影日時などが含まれていることがあります。これらの情報だけで個人が特定されることは少ないですが、他の情報と組み合わせられることで、予期せぬ形で利用される可能性もゼロではありません。
なぜこれらの情報が問題になるのでしょうか?
写真に含まれるこれらの情報がインターネットを通じて多くの人に見られるようになると、次のようなリスクが考えられます。
- 自宅や行動範囲の特定: 写り込みや位置情報から、あなたの自宅や職場、よく行く場所が具体的に知られてしまう可能性があります。
- プライバシーの侵害: あなたの生活パターンや交友関係などが、写真から推測されてしまうことがあります。
- 思わぬトラブルや犯罪につながる可能性: 場所や行動パターンが知られることで、ストーカー行為の標的になったり、旅行中の投稿から留守だと知られて空き巣などの被害に遭ったりといった、悪意を持った人による悪用につながる可能性も残念ながら考えられます。
特に、普段インターネットをあまり使わない方にとって、写真にこれほど多くの情報が含まれていることや、それが簡単に調べられてしまうという事実は、大きな驚きであり、不安の種になるかもしれません。
自分で確認するにはどうすれば良いか?
では、ご自身が持っている写真や、これから撮る写真について、どのような情報が含まれる可能性があるのか、どのように確認すれば良いのでしょうか。
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写り込みを確認する習慣をつける インターネットに写真を載せる前に、写真全体をよく見てみることが最も簡単で効果的な方法です。
- 背景に、あなたの家だと分かる特徴的な建物や景色は写っていませんか?
- 表札や郵便物、車のナンバーなどが鮮明に写っていませんか?
- 室内で撮った写真なら、壁に貼ってあるカレンダーの予定や、置いてある書類などが読めるほどはっきり写っていませんか?
気をつけて見れば、「これはちょっとまずいな」と気づくことができる情報が多くあります。
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位置情報(ジオタグ)を確認する・記録しない設定にする スマートフォンで撮影した写真の位置情報を確認する方法は、お使いの機種(iPhoneかAndroidか)によって多少異なりますが、一般的には「写真」アプリや「ギャラリー」アプリで写真を開き、「情報」を表示する機能を使うと確認できます。写真と一緒に地図が表示されたり、緯度・経度といった数字が表示されたりします。
また、今後写真を撮る際に位置情報を記録しないように設定を変更することも可能です。 * スマートフォンの「設定」アプリを開きます。 * 「プライバシー」や「位置情報サービス」といった項目を探します。 * 「カメラ」アプリに関する設定を見つけ、「位置情報の利用を許可しない」や「オフ」に設定します。
この設定をオフにすれば、今後撮る写真には位置情報が含まれなくなります。ただし、過去に撮った写真にすでに入っている位置情報はこの設定では消えません。
安心のための具体的な対策
写真に含まれる情報について知ることは、安心への第一歩です。さらに、インターネットに写真を載せる際に、少しだけ気をつけるだけで、多くのリスクを減らすことができます。
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インターネットに載せる写真は慎重に選ぶ:
- 自宅の近くや、プライベートな場所で撮影した写真は、インターネットに公開するのを避けるか、写り込みに十分注意しましょう。
- どうしても載せたい場合は、背景が特定できない場所で撮る、または写り込んだ部分が見えないようにトリミング(切り取り)したり、ぼかしを入れたりといった加工を施しましょう。
- ご家族やご友人の顔が写っている場合は、本人の許可を得る、または顔が分からないように加工することも大切です。
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スマートフォンのカメラ設定を見直す: 前述の通り、写真に位置情報を含めたくない場合は、スマートフォンの設定でカメラアプリの位置情報サービスをオフにしておきましょう。
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インターネットサービスの公開範囲を設定する: SNSなどに写真を載せる場合は、誰に写真を見せるか(公開範囲)を設定できます。
- 全く知らない人にも見せるのか(公開)
- 友達だけに限定するのか
- 家族や特に親しい人だけに限定するのか
といった設定を、サービスごとに確認し、あなたの目的に合った最も狭い範囲に設定することをおすすめします。
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古い写真や不要な写真は整理する: 過去に何気なくインターネットに載せた写真の中に、今考えると公開したくない情報が含まれているものがあるかもしれません。ご自身で削除できるものは、定期的に見直して整理することもデジタルタトゥー対策になります。
まとめ:知識があれば大丈夫、できることから始めましょう
インターネットに載せた写真に、思わぬ情報が含まれている可能性があるということを知ると、少し不安を感じるかもしれません。しかし、過度に心配する必要はありません。
大切なのは、どのような情報が含まれる可能性があるのかを知り、そして「インターネットに載せる前に少し確認する」「不安な場合は設定を見直す」といった、ご自身でできる対策を知って、できることから始めてみることです。
写真に含まれる情報に少し気をつけるだけで、あなたのプライバシーを守り、安心してインターネットを利用することにつながります。
もし、「自分の写真はどうなっているのだろう?」「設定の仕方が分からない」といったご心配があれば、周りの詳しい方に聞いてみたり、市区町村の相談窓口などを利用してみるのも良いでしょう。
『ネットの足跡相談室』は、皆さんのデジタルタトゥーに関する不安を解消し、安心のための情報を提供することを目指しています。この記事が、あなたがインターネットとより安心してお付き合いするための一助となれば幸いです。