ネットで聞かれる「誕生日」や「住所」教えても大丈夫?〜知っておきたいリスクと安心の対策〜
インターネットを使っていると、「お名前」だけでなく、「ご住所」や「生年月日」といった、普段あまり人に教えないような大切な情報を入力してください、と求められることがあります。例えば、何か買い物をするとき、サービスの会員登録をするとき、懸賞に応募するときなどです。
「こんなに詳しく教えてしまって、本当に大丈夫だろうか…?」と、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。一度インターネット上に出した情報が、後になって自分にとって不都合な形で使われるのではないか、と心配になるのは自然なことです。
この記事では、なぜインターネット上で誕生日や住所といった情報が聞かれるのか、どんなことに使われる可能性があるのか、そして、どうすれば安心して情報を入力できるのかについて、分かりやすくお話しします。
なぜインターネット上で「誕生日」や「住所」が聞かれるのでしょうか?
インターネット上のサービスやお店が、あなたの誕生日や住所を尋ねてくるのには、いくつかの理由があります。
- サービスを提供するために必要だから: 例えば、オンラインで買い物をした場合、商品をあなたの家に届けるためには住所が必要です。会員向けの特別なサービスや特典(誕生日割引など)を提供するためには、誕生日を知る必要があることもあります。
- あなたが本人であることを確認するため: 登録する人が本当にあなたなのかを確認したり、他の人と区別したりするために、名前だけでなく誕生日などの情報を使うことがあります。
- より良いサービスや情報をお届けするため: あなたの年齢や住んでいる地域に合わせて、おすすめの商品やサービスを紹介したり、統計情報として利用したりすることがあります。
これは、私たちが普段お店で会員カードを作る時に、名前や住所、誕生日などを記入するのと似ています。ただし、インターネットの場合は、あなたの情報が「デジタル」な形で記録され、色々な場所でつながる可能性がある点が異なります。
入力した情報が「デジタルタトゥー」になる?考えられるリスクとは
インターネット上で入力した誕生日や住所などの情報は、デジタルな記録として残ることがあります。これが「デジタルタトゥー」と呼ばれる状態につながる可能性も否定できません。
これらの情報が、あなたの意図しない形で使われたり、公開されたりすることには、いくつかのリスクが考えられます。
- 情報が漏れて悪用される: 万が一、あなたが情報を入力したサイトやサービスから情報が漏れてしまった場合、あなたの住所や誕生日が悪意のある人の手に渡ってしまう可能性があります(これを「情報漏洩(じょうほうろうえい)」と言います)。漏れた情報を使って、あなたになりすましたり、詐欺のメールや電話がきたりする危険性があります。
- 他の情報と組み合わされて詳しく知られる: 誕生日や住所だけでなく、あなたがインターネット上で検索したもの、購入したもの、利用したサービスの情報などが組み合わされると、あなたの趣味や好み、生活スタイルなどが非常に詳しく分かってしまうことがあります。これにより、あなたに向けたしつこい広告が増えたり、さらなる個人情報を聞き出すための不審な連絡がきたりする可能性も考えられます。
- 一度広がると消すのが難しい: インターネット上に一度出てしまった情報は、完全に消し去ることが非常に難しい場合があります。たとえそのサービスを使わなくなったり、情報が漏れたサービスがなくなったりしても、どこかに情報が残り続け、「デジタルタトゥー」となってしまう可能性があるのです。
こうした話を聞くと、不安になってしまうかもしれません。しかし、適切な知識を持ち、少し気をつけるだけで、これらのリスクを減らすことができます。
安心してインターネットを利用するための対策
インターネット上で誕生日や住所などの個人情報を入力する際に、少し立ち止まって確認したり、実行したりすることで、安全性を高めることができます。
- 「本当にこの情報が必要かな?」と立ち止まって考える 何かを入力する前に、「なぜこの情報は必要なんだろう?」「このサービスを使うために、どうしても誕生日や住所を教えなければいけないのだろうか?」と考えてみましょう。必須項目ではない場合、入力しないという選択もできます。
- 信頼できるサイトやサービスか確認する
よく知らないサイトや、急に届いたメールに書かれたリンクから開いたサイトで、安易に個人情報を入力するのは避けましょう。
- サイトのURL(インターネット上の住所のようなもの)が、あなたが知っている公式サイトのものと合っているか確認しましょう。怪しいサイトは、有名なサイトと似たURLを使っていることがあります。
- サイトの一番下などに書かれている「運営会社」や「お問い合わせ先」の情報があるか確認しましょう。情報がきちんと書かれている、実在する会社かどうかも確認できると、より安心です。
- URLの始まりが
https://
となっているか確認しましょう。これは、情報が暗号化されて送られる、比較的安全な接続であることを示します。(http://
で終わるサイト全てが危険というわけではありませんが、個人情報を入力する際にはhttps://
であることを確認するのが望ましいです。)
- 「個人情報の取り扱いについて」を読む 多くのサイトやサービスには、「プライバシーポリシー」や「個人情報の取り扱いについて」といった説明が書かれています。そこに、あなたの名前や住所、誕生日などをどのような目的で使い、誰かに渡すことがあるのかなどが書いてあります。 全てを読み解くのは難しいかもしれませんが、「利用目的」「第三者提供」といった言葉を探して、どんなことに使われるのか、他の会社に渡されることがあるのか、などを確認してみましょう。もし、分かりにくい、怪しいと感じたら、そのサービスを利用するのをやめることも考えましょう。
- 不要な情報、必須項目ではない情報は入力しない 入力フォームには「必須」と書かれている項目と、そうでない項目があります。サービスの利用に直接関係のない情報(趣味嗜好、家族構成など)で必須になっていないものは、安易に入力しないようにしましょう。
- パスワードは使い回さない もし、あなたが利用しているどこか一つのサービスから情報が漏れてしまった時、同じパスワードを他のサービスでも使っていると、他のサービスでもあなたの情報に不正にアクセスされてしまう危険性が高まります。サービスごとに異なるパスワードを使うように心がけましょう。
- 二段階認証を利用する(可能であれば) 多くのサービスで「二段階認証」という仕組みが用意されています。これは、パスワードを入力した後に、登録したスマートフォンに送られてくる番号を入力するなど、二つの方法で本人確認を行うものです。少し手間は増えますが、もしパスワードが漏れてしまっても、第三者が勝手にログインするのを防ぐことができるため、非常に有効な対策です。
まとめ:適切に知って、安心してインターネットを使うために
インターネット上で誕生日や住所といった個人情報の入力を求められることに、不安を感じるのは当然のことです。しかし、その情報がなぜ必要なのか、どのようなリスクがあるのかを知り、入力する前に少し立ち止まって確認する習慣をつけることで、多くの場合、安心してサービスを利用することができます。
全てのインターネット上の情報が危険なわけではありませんし、全ての個人情報の入力が悪いことではありません。インターネットは私たちの生活を豊かにしてくれる便利なものです。
もし、入力について迷ったり、不安が拭えない場合は、ご家族や信頼できる友人、または私たちのような情報を提供している場所にご相談ください。適切な知識と少しの注意で、インターネットを安全に、そして便利に使いこなしていくことができるはずです。
あなたの「ネットの足跡」について、不安なことがあればいつでもこの相談室を訪れてみてください。